リスボン条約

リスボン条約の勉強会に参加してきました。
リスボン条約とは、EUの設立条約を改正する条約のこと。
EUの設立条約はEU統治機構の権限配分や立法手続きを定めているので、
リスボン条約によってこれが改正されるということは、
EUの在り方に大きな変更が加えられたということになります。
リスボン条約は成立・発効に至るまでに約10年という年月を要しており、
その間には欧州憲法条約の挫折という経緯もありました。
また、加盟国の増加ということを考えると、今後このような大幅は条約改正はほとんど考えられないということです。
私の専門からいくと、EUの統治システムそのものや、成立に至る政治的なプロセスについては門外漢なのですが、
立法過程が変化したこと、民主主義という観点からEU諸機関のパワーバランスが調整されたこと、などは大変勉強になりました。
大ざっぱな感想としては、EECという経済同盟から出発し、欧「州」というにふさわしい「超国家」へと変遷していく様は、さながら一つの社会実験であり、
trial and errorを繰り返しながらその「社会実験」が世界を牽引していく力を得ていくというのは、恐ろしくも滑稽であると同時に、
権威で表面を塗り固め自らの行いに誤りなどあり得ないと考えているかの一小国家の態度とは比較にならない真摯な態度があると感じました。
自分の研究との関連では、「EUスタンダード」が「グローバルスタンダード」として世界の環境法政策を方向づける傾向は強まり、
EUの法政策を学ぶ必要性は今後ますます高まるだろうということ、
EUでは基本的人権との関連で環境問題をとらえ、法政策全体を精査する一つのメルクマールと考えようとしているのか、という疑問が得られたこと、
などなど、凝り固まった脳みそに大いに刺激を頂きました。
EU全体像を把握しようというのはあまりに大変な作業になりますが、
立法過程や執行措置に関連する分野から勉強を進めていきたいと思います。

The Lisbon Treaty: Law, Politics, and Treaty Reform (0)

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